えこじの湯

小千谷市真人町の住宅街にある有名な秘湯、えこじの湯へいってきました。外観は民家兼 廃商店風ですが、入口の表札には「特用きのこ開発研究所」,大看板には「ミヤマサンゴ茸」とどちらも達筆ではない手書きで書かれていて独特の怪しい雰囲気があります。

「こんにちは~。温泉に入りたいのですが」と声をかけるとご主人が出てきました。温泉に入るには幾つかの手順があり、まず居間に通されてお茶とお茶菓子をごちそうになります。その間にご主人がお風呂の準備をします。湯を出して湯温の調節が行われている間に 資料が渡されて"ミヤマサンゴ茸"の講習を聴きます。それから温泉に入るというシステムになっているそうです。
講習内容を要約すると幻の茸ミヤマサンゴ茸をクロモジの木の芳香成分(テルピネオール?リモネン?)を養分にして栽培すると健康に良く、美味しい茸になるらしい。ご主人の藤巻氏は、その茸の栽培用種菌を作るために東北大助手として3年間勉強し、15年でサプリメントの商品化にこぎつけたそうです。

さて、お風呂の準備が整ったとのことで早速浴室へ向かいます。
途中の廊下には藤巻家の家紋が入った堤燈と、手書きのキノコのイラストが並んでいます。
脱衣所はバラック風。天井を支える柱の1本はタル木(30×40mmの角材)で、脱衣棚にくくり付けられていた。しかも長さが足りなかったのか他の木材を釘1本で継いでいる。無茶だ。その他 大工の娘としてはツッコミ所満載の建物であるが…敢えて見ない事にしよう。

浴室は思いの他立派です。天井が高く採光も良く、素朴な湯小屋です。これが全部ご主人の手作りだというのだから驚きです。
10人くらいは入れそうなコンクリート製の浴槽(半分は保温のため木蓋がしたままだった)に無色澄明,無味無臭のお湯がかけ流しされています。
開店直後の1番風呂だったため お湯の鮮度は良好です。艶やかで つるすべ&キシっとした浴感が素敵。湯温が38~39℃と温めですが、長い事浸かっていると汗がダラダラ出てきて大変です。柔らかくて温まりの良い、いいお湯だと思います。
浴槽の底にある足ツボ刺激用の凹凸は、お手柔らかなやさしい刺激です。ご主人が楽しんで浴槽を作っていた様子が目に浮かぶようです。
浴槽の側面には洗い場が4つ設置されていて、こちらも手作りの素朴さで凄く好みです。

湯口です。多分アニマル系だと思いますがカエルともモグラとも断定できません。しかもお湯は鼻から出てる?へそ部分にも穴が開いている?謎です。
ボイラー音がすると出てくるお湯が熱くなるので加温していると思われます。

浴室は1つしかないので基本的に貸切使用ですが、後客がいる場合は30分経過すると出る合図としてブザーが鳴るシステムになっています。
さてお風呂から上がると、再度ご主人が居間でお茶を入れてくれました。ここからはフリートーク、話の内容が面白いので注意しないと帰る機会を逸します。
まずは気になっていた湯口のアニマルについて質問しました。地震で湯口が壊れたので、石屋へ新しい湯口のモチーフを探しに行きカエルがいいなと思ったらしい。しかし石ではお湯を通すホースを入れられないので、自分でコンクリートを使ってカエルの湯口を作った。しかし固まる間にコンクリートに含まれた水分が重力により下りてきて、下半身デブの物体ができたらしい。へその部分の穴は早くお湯を溜めたい時に使用するそうです。
その後の主な雑談は
・キノコ研究の最前線。キノコを使用したプラスチックの生物分解の話。
・クロモジの木の皮を詰めた枕を考案中。芳香成分で神経が静まり安眠できる。
・ご主人の波乱万丈の人生。魚料理屋で40年,大学助手で3年,商品化に15年の軌跡。
・お酒1升5合生活からの脱却。アルコール抜きの荒行と、それに付き合わされた金魚とテラピアの話。
・えこじの湯誕生秘話。奥さんからも理解されず、えこじになった真冬の浴槽づくり。
・営業許可がなかなか降りず"何事にも裏技あり"とお偉いさんに直談判。
・中越地震の時のお話
・キノコ料理も名物で、全国から食べにくるお客さんがいる話。
・明るくて面倒見の良い素敵な奥様のお話。
などなど盛りだくさんで 軽く1時間は経過してしまいました。ドキュメンタリー番組が作れそうです。
今までの話からご主人の年齢を逆算すると70歳を越えていると推測されますが、目の輝きがキラキラを通り越してギラギラしています。これが人生を賭して夢と野望を追っている人の目なんだと思います。諦めなければ人生は再生できるのだと 勇気をもらえる温泉施設でした。
ご主人の話を聞くのも入浴手順の内なので、時間がない人,他人の話を聞くのが嫌いな人には不向きな施設です。
燃料費節約のため循環しているとのことですが、毎日お湯を入れ替えているので、新鮮湯に入りたい場合は1番風呂をおすすめします。
**** 個人的評価 *************
雰囲気:♪♪♪♪♪
お湯 :♪♪♪♪
コストパフォーマンス:♪♪♪
総括:キノコ研究所同居型 バラック系温泉
ようござんす度:S(住宅地の秘湯。混沌とした超B級施設。)
**** 施設データ *************
源泉名:
泉質:弱アルカリ性単純温泉,30℃
住所:新潟県小千谷市真人町
電話番号:0258-86-3276
営業時間:10:00~22:00 月曜休
日帰り入浴:\500 (お茶,茶菓子,キノコ講習付?)
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